この人となら良い仕事ができそう―読まれる「応募」の3つの共通点

地域企業が抱える「今、解決したい課題」に対して、副業人材が当事者意識をもって向き合い、小さくても具体的な成果(スモールウィン)を実現し、前に進む。その体験がお互いの信頼のベースをつくり、「次の仕事」を生み、地域と人の持続的な関係が築かれていく。JOINSは、日本中でそんな関係づくりを支援していきたいと考えています。

地域企業が提示する課題(=副業人材にお願いしたい仕事=募集案件)に対して、副業人材が「自分ならこう解決します」と応募(提案)する。そこから両者のコミュニケーションが始まります。

地域企業から選ばれる副業人材の応募(提案)内容には、どのような特徴があるのでしょうか。


 応募(提案)内容から、スモールウィンをイメージできるか

地域企業は、「今、解決したい課題」に対して、スモールウィンを実現してくれそうな副業人材との出会いを求めています。JOINSのマッチングプロセスは、募集案件の選択→応募→1次面談→2次面談→契約(業務開始)という流れですが、最初の接点である「応募」の段階で、企業側にスモールウィンをイメージしてもらえるか、「一度会って話を聞いてみたい」と思ってもらえるかが肝になります。

2020年8月~2021年3月の8か月間でJOINSがマッチングを支援した実績によると、募集案件1件あたりに対する応募人数は平均7~8人。このうち1次面談に進んだ人は平均3~4人、2次面談は平均1~2人でした。もちろん個別のケースによって異なりますが、おおむね応募から1次面談の段階で約半数の提案がスクリーニングされていることになります。

「応募」のステップ(いわゆる書類選考)をクリアし、1次面談に進む人材は、どのようなことを書き、提出(提案)しているのでしょうか。


面談に進む人材の応募(提案)の共通点

そこで、JOINSのマッチング事例をもとに、面談に進んだ(一度会って話を聞いてみようと思ってもらえた)応募内容の共通点を探ったところ、次の3つの仮説に行き着きました。


3つの仮説
a. ○○の経験がある(CAN)+自分がやりたい(WILL)がある
b. 自分の中の「正解」だけでなく、相手との「納得解」を探る構えがある
c. 相手が見ている「風景」を想像して書いている

a. ○○の経験がある(CAN)+自分がやりたい(WILL)がある

自分の経験やスキルを客観的・具体的に示して、自分には何ができるか(CAN)を証明することは、相手にスモールウィンをイメージしてもらうために不可欠です。ただ、それだけで他の応募者とあなたと違いは伝わるでしょうか。

地域企業の経営者や採用担当者に「どんな人と仕事がしたいですか?」とたずねてみると、自分たちが実現したいことに共感してくれる人、目標に向かって一緒に汗をかいてくれる人、熱意や想いを持っている人、など「WILL」を重視しているような答えが返ってくることが少なくありません。※1

実際に企業の目にとまり1次面談に進んだ応募(提案)には、なぜそれに取り組みたいのか、何が自分を突き動かすのか(WILL)、企業の課題を自分事として捉える熱量があります 。テキスト(文字)からでも人柄や熱量が伝わることは十分あるのですね。


POINT
企業の経営者や採用担当者が一緒に仕事をしたい人の特徴
・自分たちが実現したいことに共感してくれる人
・目標に向かって一緒に汗をかいてくれる人
・熱意や想いを持っている人

b. 自分の中の「正解」だけでなく、相手との「納得解」を探る構えがある

 地域企業が抱える課題に対して、解決のためのプロセスや成果イメージを具体的に説明しようとする姿勢は大切です。その課題の分野や難易度によっては、自分の専門知識や経験則を活かして解決策を示すことで、より提案内容にリアリティを感じてもらえるかもしれません。

 ただし、気を付けたいのは、この時点ではまだ「限られた情報をもとに会話を始めようとしている段階」だということです。地域企業側には、募集案件のページで表現しきれていない事情や経緯があるかもしれません。副業人材側も、応募書類の限られたスペースで、まだ伝えきれていない情報があるかもしれません。

お互いに見えていない部分がある前提で、それを一つ一つ確認しながら共に解決策を探っていく。「応募」の段階で示すのは、そのようにお互いが納得して進める道すじを考えていくための「たたき台」である。そんなスタンスも良いかもしれません。


POINT
お互いに見えていない部分がある前提で、それを確認しながら共に解決策を探っていく(決め打ちしない)スタンスが大切。応募書類は、面談以降のプロセスで認識をすりあわせていくための「たたき台」。

c. 相手が見ている「風景」を想像して書いている

 もし皆さんが企業の経営者だったら、そこからはどんな風景が見えるでしょうか。どんな課題と向き合っていて、どんなことに困っていて、どんな毎日を過ごしているでしょうか。

やるべきことが溢れていて、どれも重要に思えて整理がつかない、という状況であれば、あなた(経営者)の話に耳を傾け、そのうえで「このあたりから手をつけてはどうか」と見解を示してくれる人が助けになるかもしれません。

 やりたいことは明確なのに、専門的な知見が乏しいゆえに意思決定できずにいる、という状況であれば、専門用語をわかりやすい言葉に置き換えてくれる人、特殊な事象を馴染みのあることに例えてくれる人が必要かもしれません。

選ばれる人の応募(提案)を見ていると、そんな相手の立場に配慮したトーンを、テキスト(文字)でも十分に表現できることが分かります。


POINT
・何が一番の課題なのかを特定するところからサポートが必要なケースもある
・専門的な用語をなるべく使わず、わかりやすい言葉に置き換えて伝える
・相手の立場への配慮は、文字だけ表現可能

読む人の文脈にあわせて書いているか

解決したい課題は企業によって様々です。似たような課題に見えても、企業の歴史や風土などによって論点が違ってくることもあります。そのため、どんな内容や書き方が目に留まるか、何を重視するかは読み手によって異なり、当たり前ですが「応募書類の書き方」に正解はありません。しかし、実際に企業に選ばれている応募書類の共通点を参考にすることはできそうです。

 今回紹介した3つの点に共通しているのは、「読み手の文脈にあわせて書こうとしている」ことです。相手が何を持っていて、何を持っていないか。だから今、何を求めているのか。

今は自社の公式サイトを持っていることも珍しくありませんから、そのような公開情報に一通り目を通すことは当然として、見えない部分は想像で補いながら、何をどれくらい伝えればスモールウィンをイメージしてもらえるか、そんなことに考えを巡らせるプロセスこそが大事なのかもしれません。

※1|JOINSでは、各募集案件のページに企業の経営者や採用担当者へのインタビュー動画を掲載しています。そこでの質問「どんな方に応募してほしいですか?」に対する答えも、その企業の価値観や温度感を推し量る材料として参考にしてみてください。

(イラスト|freepik.com

投稿者プロフィール

岸 秀一朗
岸 秀一朗
パイオニア→三菱総合研究所→現在はソニーグループで組織開発/人材開発に従事。シニアマネジャー。2020年から副業でJOINSに参画。“個”として働くことに一歩踏みだす皆さんを全力で応援。DDIファシリテーター、キャリアカウンセラー(CDA)、ワークショップデザイナー。