あなたはどう書きますか―300字で伝えきるJOINSの「応募」フォーム

以前の記事で、JOINSの副業マッチングの実績をもとに、“読まれる”「応募」の共通点を紹介しました。(参考;この人となら良い仕事ができそう―読まれる「応募」の3つの共通点

今回はその続編。どのようなスタンスで、何を書けば、募集企業が知りたいことに近づけるのか。JOINSの応募フォーム(実物)にそって、もう少し具体的に考えてみます。

 

何を書くか、どう書くか|JOINSの応募フォーム

JOINSの副業案件に「応募」するには、次の4つの設問に答えて募集企業に提出します。
 (1) 案件に関心をお持ちいただいた理由
 (2) 「最初の業務としてやってほしい具体的なこと」の実現方法
 (3) 上記の実現に活かせそうな過去のご経験
 (4) その他コメント

それぞれ、どんなことに気をつけて書くとよいのでしょうか。募集企業の経営者や採用担当者と日ごろからコミュニケーションを重ねているJOINSのメンバー(カスタマーサクセス担当)に聞きました。

(1) 案件に関心をお持ちいただいた理由

仕事内容だけでなく、その企業、その地域への関心も

「どうしてまた、うちのような地方の仕事に興味を持ってくれたのか?」募集を出した側(企業)は気になるものです。募集案件(仕事内容)に関心を持った理由だけでなく、その企業が目指す世界観や価値観に共感する部分や、その地域への想いや由縁などがあれば、あわせて伝えられるとよいかもしれません。

関心があるから、知ろうとする、探す、調べる

募集企業のホームページ、SNSアカウント、スタッフブログなどから情報を集めることは、ひと手間かかりますが、難しいことではありません。安定して成約を重ねている副業人材は、応募前の段階でごく自然にこのような情報収集をしています。企業によっては、そのひと手間かける行動を見て、「関心を持ってくれている」「当社の事情に寄り添ってくれそう」という印象をもつ場合もあります。

(2) 「最初の業務としてやってほしい具体的なこと」の実現方法

募集内容にあった提案になっているか(問いに答えているか)

まずは企業から示された課題(募集案件)に対して、具体的な解決策(最初のゴールと、そこまでの道のり)を提案します。あなた(副業人材)から見て、より重要な課題が別のところにありそうだな・・・と思える場合でも、まずは最初の問いに具体的に答えることから始めましょう。

自分が手足を動かす範囲を示す

問題設定~要因分析~アクションプラン策定~実行~効果検証・・・という工程をひいた場合、どこからどこまでをあなた(副業人材)が担う想定なのか。コンサルティングやアドバイス、アイデア出しまでなのか、その後の実行まで手足を動かしてくれるのか。このあたりも企業にとっては気になるポイントです。

相手が普段つかう言葉で書く

例えば、「Googleアナリティクスを用い、セッション数や直帰率を調査の上、コンバージョンを獲得するための施策を実行します」と提案したい時、どんな単語や表現で書くとよいでしょうか。企業情報や募集内容などから読み手を思い浮かべて、相手が使い慣れていなさそうな言葉は取り除き、別の言い方に置き換えてみましょう。

(3) 上記の実現に活かせそうな過去のご経験

提案内容に説得力を持たせる材料を中心に

けっして大きく見せようとする必要はなく、応募(提案)の内容を実現できる根拠となりそうな経験を中心に書きます。もし募集案件と同じ(または近い)業種・職種での経験があれば、再現性の高さを説明する材料になるかもしれません。

何を実行してきたのか、事実を簡潔に

どのような状況で、どのような役割を担い、どのようなアクションを実行し、どのような結果になったのか。それらを経て、どのような経験知や実践知を得たのか。事実をシンプルに記載します。(詳細なエピソードは「面談」で語ることもできます)

(4) その他コメント

上記(1)~(3)で伝えきれなかったことがあれば、ここで補足します。また、契約に際しての制約や希望(稼働時間や曜日など)がある場合はあらかじめ伝えておきましょう。なお、JOINSでは禁止行為(過度な営業、勧誘など)を定めていますのでご注意ください。(詳しくはこちらをご覧ください)

 

読み手に負担をかけない書き方|おすすめ本3冊

文章の書き方を紹介する教養本やビジネス書は、数えきれないほど書店に並んでいます。「定番」「ロングセラー」と評される良書も少なくありません。全てを手にとることはできませんが、そんな中でも、「読み手の負担を小さくする」という視点を教えてくれる(と、私が思う)本をいくつか紹介します。

入門 考える技術・書く技術―日本人のロジカルシンキング実践法(山﨑 康司|ダイヤモンド社)

ロジカルシンキング/ライティング(ピラミッド原則)の源流ともいわれる「考える技術・書く技術」(バーバラ・ミント著)の訳者が、日本のビジネスパーソン向けに書きおろした入門ガイド。こっそり、さくっと、基本をおさえたい方に。

“読み手の状況や疑問を正しく理解できれば、ライティングの半分は成功したと言ってもよいでしょう”(p26)

“ピラミッド型に組み立てたメッセージ構造は、そっくりそのまま文書構造になります”(p46)

“文書を書くという直接的な作業では、考えるプロセスで完成したものをいかにそのまま紙に表現するかが大切なのです”(p135)

入門 考える技術・書く技術―日本人のロジカルシンキング実践法(山﨑 康司|ダイヤモンド社)

 

超・箇条書き―「10倍速く、魅力的に」伝える技術(杉野 幹人|ダイヤモンド社)

なんとなく子供のころから、なんとなく自己流で、なんとなく使ってきた箇条書き。たかが箇条書きにも、技術があり、型がある。字数・スペースに限りがある中でメッセージを伝えきりたい、そんな時に頼りになるツール。

“箇条書きの機能は「読み手や聞き手にとっての情報処理の負荷を減らす」ことだ”(p19)

“文だけではなく、構造にも意味を語らせることで、情報を補い、相手の情報処理を助ける”(p74)

“相手が置かれている状況、すなわちコンテキスト(文脈)を考えて箇条書きをつくらなくてはならない”(p81)

超・箇条書き―「10倍速く、魅力的に」伝える技術(杉野 幹人|ダイヤモンド社)

 

大人のための国語ゼミ(野矢 茂樹|山川出版社)

今、相手と話が噛み合っているか、お互いの前提の違いは共有できているか、説明の足りていない部分はないか。会議やメール、普段の会話まで、そこで交わされる「言葉」への感度を劇的に高めてくれる一冊。

“相手のことを考え、分かってもらえるような言葉に言い換えたり説明を補ったりする力は、国語力である”(p29)

“幹と枝葉を区別することは、自分で文章を書くときにも決定的に重要な力となる”(p132)

“字数と格闘しながら表現を切り詰めたり言い換えたりしていると、どういう言い方をするかということに対する感受性が研ぎ澄まされてくる”(p175)

大人のための国語ゼミ(野矢 茂樹|山川出版社)

 

個性は大切、でも使える「型」は使ってみる

企業が募集案件を公開すると、複数の応募(案件一つあたり平均7~8件)が届きます。たくさんの応募の中で目に留めてもらう、読んでもらうためには、

  • 外形的な書き方(見ため)を工夫して、読み手の負担を小さくすること
  • 内容や表現(中身)を洗練させて、読み手の期待に応えること

両方の視点をもって書けるとよいですね。

本、セミナー、YouTube、通信教育など、文章の書き方を学べる機会はあふれています。色々な「型」がありますが、自分にあいそうなもの、違和感のないものを選んで試してみましょう。すべては、読み手の負担を小さくするために―。

もちろん、個性(オリジナリティ、ユニークさ)は大切です。みんなが全く同じ見ためで同じ中身だったら、あなたである必然性がなくなってしまうからです。ただ、せっかくの個性も、読み手に届かなければ意味がありません。読み手に届く確率を上げるために、スッと読みはじめてもらい、最後まで目を通してもらうために、使える「型」は使ってみる。そこに個性を上乗せする―。

皆さんの経験や想いの込められた「応募」が、募集企業の目に留まり、選ばれ、いい出会いにつながれば嬉しく思います。

(イラスト|freepik.com

 

 シリーズ  スモールウィンにつながる副業人材の特徴
【スモールウィン】地域企業が抱える課題に副業人材が向き合い、「小さくても具体的な成果」を出すこと。それがお互いの信頼のベースをつくり、「次の仕事」が生まれ、持続的な関係につながっていくとJOINSは考えています。

投稿者プロフィール

岸 秀一朗
岸 秀一朗
パイオニア→三菱総合研究所→現在はソニーグループで組織開発/人材開発に従事、シニアマネジャー。2020年から副業でJOINSに参画。“個”として働くことに一歩踏みだす皆さんを全力で応援。DDIファシリテーター、キャリアカウンセラー(CDA)、ワークショップデザイナー。