スモールウィンにつながる副業人材の特徴【ホウレンソウ編】

ビジネスパーソンにはおなじみの「ホウレンソウ」。ホウコク(報告)・レンラク(連絡)・ソウダン(相談)の各2文字をとって並べたこの言葉を、「仕事の基本」として上司や先輩から教わった、という方も多いのではないでしょうか。

副業人材には副業人材の、プロとしての「ホウレンソウ」スタイルがある―。

というのが、オンライン・リモートワーク中心かつ副業・兼業という働き方を推進するJOINSで様々なマッチングケースを見聞きしてきた、そして自分自身も副業ビギナーとして日々試行錯誤している、私の仮説です。

リモートでも、副業でも、スモールウィン※につながる人材は、どのように情報共有・コミュニケーションを行って、仕事の依頼主(企業)からの信頼を獲得しているのでしょうか。

※スモールウィン・・・地域企業が抱える課題に副業人材が向き合い、「小さくても具体的な成果」を出すこと。それがお互いの信頼のベースをつくり、「次の仕事」が生まれ、持続的な関係につながっていくとJOINSは考えています。


ホウレンソウの最大の効用は、依頼主の「安心感」

なぜホウレンソウが必要なのか

一般的な意味では、

  • 懸念点やミスを早期発見して、致命的な手戻りをなくし、仕事を円滑に進めるため
  • 他のメンバーや関係者にも進捗を見える化して、相互の連携や支援を促すため
  • 定期的に仕事を振り返り、その経験から得た学びを言語化するスキルを高めるため

などがホウレンソウの目的と言えそうです。

チームや組織の力(リソース)を最大限に活かして良い仕事をするためには、適時・適切・適量の情報共有・コミュニケーションが不可欠です。そのために一人ひとりに求められる基本動作がホウレンソウである、ということになります。ですが、ホウレンソウにはもう1つ、とても大事な効用があります。

すべては、仕事の依頼主の「安心」のため

それは、仕事の依頼主に「安心」してもらうことです。仕事をお願いした方としては、「期待どおりの仕上がりになりそうか、問題は生じていないか、期限に間に合いそうか」と、進み具合が気になるものです。仮に仕事の期限が1か月後であっても、数日~1週間おきに状況が知らされれば、進んでいることが分かり、安心できます。

また、よくbad news firstと言われるように、「思っていたのと違うかも」「ちょっとまずいかも」という事態に気付いたら「すぐに」依頼主へ伝えることも大切です。手遅れになる前に正直に状況を報告して、対応策を提案・相談することは、一時的には険悪な雰囲気になったとしても、中長期的には信頼につながる誠実な行動と言えます。

人それぞれ、心地よいホウレンソウの型(常識)がある

一人ひとり、慣れたホウレンソウのやり方があります。伝える中身(量、粒度)、頻度(タイミング)、伝達手段(ツール)など、これまでの経験をもとに「ふつうはこうだよね」という型(常識)を身につけています。

一般的に「常識」というものは、所属する組織や社会、育ってきた環境の影響を受けて形成されます。そのため、初めて会う人とは、お互いが持っている常識(「当たり前」の感覚)にズレがあってもなんら不思議ではありません。

そのことに気付いていれば、相手にとって心地よい(安心できる)ホウレンソウはどんな「型」なのかを推し量り、それにあわせて自分の「型」を調整していくことができます。


どんな型でいくか、「業務開始初日のチェックポイント」リストで確かめあう

これから仕事を進めていくうえで、企業と副業人材がどのように情報共有・コミュニケーションをとっていくか。JOINSでは「業務開始初日のチェックポイント」リストを使いながら、双方の認識あわせをサポートしています。どんなチェック項目があるのか簡単に紹介しましょう。

□ 業務報告のタイミングや内容を確認

ここでいう「業務報告」は、実施した業務の成果と進捗のことであり、副業人材が企業に請求する報酬の根拠となる稼働実績です。どのような頻度で、どのような場で、どのような粒度で報告するか。通常は仕事の依頼主(企業)の意向に沿って決めます。JOINSでは少なくとも月一回以上の定期的な報告を推奨しています。

□ 定例ミーティングの開催方法を決定

定期的なコミュニケーションの場を確保するために、定例ミーティングを予め設定しておきます。頻度(例;毎週or隔週)、方式(例;原則オンライン、月1回は対面)、日時(例;毎週○曜日○時~)、会議ツール(例;企業側Zoomアカウントで主催)など具体的な方法を決めておくと、会議開催のための調整コストを減らすこともできます。

□ 日常のコミュニケーションツールの決定

オンライン・リモートワーク環境では、コミュニケーションの「質」だけでなく「量」がとても重要です。思いついた時にすぐにやりとりができるように、チャット機能のあるツール(Slack、LINE、Chatwork、Microsoft Teamsなど)を推奨しています。

□ パートナー人材の業務時間帯を確認

「○曜日の○時以降」「休日は○時から○時まで」など、この仕事のために稼働できる時間帯について、仕事の依頼主(企業)の理解を得ます。別の仕事も持っている副業(兼業)人材なので、連絡をとりやすい時間帯を知っておいてもらうことは、「返信が遅い」「連絡がない」等の不満や不信感を生まないためにも大変重要です。

□ その他、仕事の進め方で希望することの共有

仕事の依頼主としては「日々の状況をこまめに把握したい」「メールやチャットの返信は早めが嬉しい」等の希望があるかもしれません。一方、副業人材としても「報告の頻度は最小限にして、日々の進め方は任せてほしい」場合もあるでしょう。日々のやりとりのテンポについて、相手の感覚や期待を予め確認しておくとよいでしょう。


副業人材がプロとして実践する、“オトナ版”ホウレンソウ

「義務」というより「マナー」としてホウレンソウする

副業先との契約形態が、業務委託契約(準委任)であるなら、“受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。”(民法645条)

つまり、受任者(=副業人材)は、業務報告(または業務遂行に必要なコミュニケーション)を行う「義務」を負っています。しかし、仕事の依頼主の安心に配慮している副業人材は、法律上の「義務」としてというより、ビジネスパーソンの「マナー」として、自然に、滑らかにコミュニケーションをとっているように見えます。

自分の仕事の見える化は、プロとしての基本動作

上のとおり、稼働時間に応じて報酬(時給)を請求する場合、稼働した実績(時間と中身)の見える化に努めることは、義務でありマナーです。依頼主(企業)に「何をしているのか分からない」と言わせてしまうような状態では、共に良い仕事をするための信頼関係を築けません。

リモート環境下でも、相手の意向に配慮した型でホウレンソウする。またはホウレンソウという形式にとらわれず、ドキュメントやチャット・メール等で「動いていること」を記録・共有する。安定して成果をあげている副業人材には「自分の仕事を見える化」するセンスがあり、淡々と、基本動作として実践しているように感じられます。

相手の「安心」を確保して、仕事の中身に集中する

その仕事で成果を上げるために必要な知識・技術を十分に持っていても、仕事の依頼主とのコミュニケーション不全があっては、こちらの想いや意図が伝わらなかったり、努力を評価してもらえかったり、安心して仕事を任せてもらえなかったりと、道のりが険しくなっていきます。そうなってしまうと、自分の知識・技術を発揮する段階までたどり着けません。

仕事の依頼主に「安心」してもらえるホウレンソウの型を決めたら、習慣化してしまい、あとはゴールに直結する仕事に集中する(そこにパワーをかける)、そうできる環境を早々に整えたいところです。

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リモートでも、副業でも、企業から安心して仕事を任せてもらうためのオトナ版「ホウレンソウ」。引き続き注目していきたいと思います。


(イラスト|freepik.com

投稿者プロフィール

岸 秀一朗
岸 秀一朗
パイオニア→三菱総合研究所→現在はソニーグループで組織開発/人材開発に従事。シニアマネジャー。2020年から副業でJOINSに参画。“個”として働くことに一歩踏みだす皆さんを全力で応援。DDIファシリテーター、キャリアカウンセラー(CDA)、ワークショップデザイナー。