「とにかく生産性を上げてほしい」。そう託された外部人材は、いきなりDXに走らず、まず現場に張り付いた。やがて「アドバイザーのままでは前に進まない」と痛感し、3つの部長、そして取締役へ。愛知から長野へ、業務委託から「中の人」になったSさんの物語です。
託されたのは、ただ一言「生産性を上げてほしい」。しかしSさんは、いきなりDXやロボットに走りませんでした。まず現場に張り付き、週1回みんなで集まって「自分はこう思うが、どう思う?」と問いかけ続ける。押し付けではなく、現場自身が考える場をつくることから始めました。やがて、現場が少しずつ動き始めます。
現場が動き出す一方で、Sさんは壁にぶつかります。「アドバイザーのままでは決裁権がなく、改善が前に進まない」。提案はできても、決めて実行する権限がない。そのもどかしさの中で、より深く関わる覚悟を決めます。
Sさんは、製造・加工・品質の3つの部長を引き受け、さらに経営に踏み込むため取締役に就任しました。業務委託という軽い入口で、会社と本人が互いの相性と力量を見極め、双方が納得してからの登用です。外部の人が「中の人」になって、初めて現場は本格的に動き出しました。
肩書きで押さえつけるのではなく、現場と同じ目線で対話を重ねたSさん。受け入れ企業の経営者は「これまで社内にいた部長よりも、話しやすい関係ができている」と語ります。大手で培った経験を中小の現場の言葉に翻訳し、人をその気にさせる——それが、登用にまで至った理由でした。
アドバイザーのままでは、決裁権がなくて改善が前に進まない。だから「中の人」になることを選びました。
Sさん(大手自動車部品メーカー出身・50代後半)
現場に張り付き、問いかけ続ける。いきなりDXやロボットに走らず、まず現場を動かした。
業務委託から、取締役へ。軽い入口で相性と力量を見極め、双方納得のうえ登用。
「アドバイザー」では動かない。決裁権を持つ「中の人」になって、初めて改善が進んだ。