大企業出身が中小に入ると「高度な専門知識でバリバリ指導する」と思われがち。でもOさんが大切にするのは「相手へのリスペクト」だった。腕組みで命令するのではなく、自ら手を動かす。茨城から千葉へ、現場に溶け込みながら標準化を進めるOさんの物語です。
大企業出身者が地域の中小企業に入ると聞くと、「高度な専門知識でバリバリ指導する」姿を想像するかもしれません。しかしOさんが最も大切にしているのは、「特別なスキル」ではなく「相手へのリスペクト」でした。
その原点は、会社員時代の出向経験にあります。買収先の企業と自部署が統合した際、企業文化の違いから衝突が絶えず、飲み会で一触即発の雰囲気になったことさえありました。「いくら正論でも、上から『変えてやろう』と思って接しては絶対にうまくいかない」。そう痛感したOさんは、命令するのではなく、まず相手の懐に入り、自ら手を動かすことを選びました。
「長く続いている会社には、必ず理由があります。現場には必ず『お宝』がある。それを尊重した上で、『こんなやり方を加えたらもっと良くなりませんか?』と提案する。そうして初めて、相手も耳を傾けてくれるんです」。地域企業で求められるのは、特殊な魔法ではありません。相手の文化を尊重し、一緒に汗をかく。その姿勢があれば、大企業の経験は必ず活きます。
いまOさんは、千葉県の金属製品メーカーで、安全衛生から品質基準まで8つの改善テーマに取り組んでいます。属人化した製造現場を見える化し、標準化し、定着させる。週1〜2日、現場に降りて一緒に悩みながら、大企業の経験を現場の言葉に翻訳しています。
長く続いている会社には、必ず理由があります。現場には必ず“お宝”がある。
Oさん(大手製造業出身・50代後半)
「相手へのリスペクト」から始める。上から変えようとしても、人は動かない。
現場のお宝を尊重して提案する。長く続く会社には必ず理由がある。
8つの改善テーマを標準化。属人化した現場を、見える化→標準化→定着へ。