副業活用で成果が出た企業の共通点 神戸市チーフ・エバンジェリストに聞く


栗山 麗子(くりやま れいこ)
 
大手食品メーカーを経て、2019年10月に入庁。東京駐在。前職での商品開発、マーケティング、事業開発等の幅広い経験と人脈を活かし、首都圏プロモーションを中心に活動中。得意分野は企画とPR で、国内最大級テレビ通販での部門1位獲得やその他一般チャネル でのロングヒット商品開発などの実績を持つ。

神戸市は2020年3月から、 市内の企業と副業人材をつなぐ取り組みを進めてきました。また、 神戸市役所としても同年秋から専門職種で40名の副業人材を採用し、市役所内外で積極的な副業人材活用推進を進めています。 

一連の事業の中心となったのが、神戸市 医療・新産業本部 新産業部 新産業課 チーフ・エバンジェリスト 栗山麗子氏です。

栗山氏は副業人材を採用し、ともにプロジェクトを進めた経験と、副業人材を活用した市内の企業の取り組み伴奏および企業へのヒアリングを通して、ある発見があったといいます。 その発見とは、人材募集、人材選定、業務進行の各ステップにおける共通点。 副業人材活用を成果に結びつけるポイントを、栗山氏に寄稿していただきました。

1.お願いしたい内容とその背景を率直に伝える

人材を募集する際には、企業理念やビジョンとともに、お願いしたい内容とその背景なども人材の方にお伝えします。その表現方法には企業やご担当者の方のカラーが出ますが、 成果を出された企業様はみなさん自社の考え方や状況、お願いしたいことを分かりやすく、カッコをつけずに率直に伝えられていました。 

例えば「ECの売り上げを伸ばしたいけれど、問題点を明確に出来ておらず、どのように取り組めばよいか分かりません。現状分析も一緒にしていただいた上で、取り組みの方向性も一緒に考えていただきたいです」というように 現状や、困っている点、今後の取り組みスタイルの希望についても、分かりやすくストレートにお伝えするというような感じです。 

伝えることで互いの気持ちの垣根も低くなる

お願いしたいことを率直に伝えることで、副業人材の方に現状を正しく理解していただきやすくなるとともに共感も生まれ、よりフィットした提案をしていただける、という流れができていたように見えました。 また、互いの気持ちの垣根も低くなり①スタートからより一体感のある取り組みが可能になる②人材のモチベーションが上がる――という効果もあるようで、これらも成果につながっているように感じました。 

副業に限ったことではないかもしれませんが、 信頼関係を築くためにはまずは互いにまっすぐに向き合い、素の姿を見せ合うことが、とても大切なことなのだと改めて実感しました。 

2.面談の最終判断は「チームとして楽しく仕事ができるか」

成果を出された企業様には、 人材選定時にも共通点がありました。1つ目は面談を進める中で、自分達の選定軸を明確にしていき、その軸をぶらさない。2つ目は最終判断を人柄や価値観重視で行い、理屈ではなく自分達のフィーリングを信じて判断するという点です。 取材時に成功の秘訣を尋ねると、どの企業様も口を揃えて「人柄や価値観が合うかどうか。人選時に、直感に従って判断してよかった」と言われているのが本当に印象的でした。

短期間でも密度の濃い仕事ができた

実は、神戸市の首都圏プロモーションチームでも副業人材の方とのプロジェクトを実施しました。異なる業務内容で2名の募集をさせていただきましたが、それぞれ10名以上のご応募をいただき、選定時には本当に悩みました。 ご応募いただいた方々は、スキル、人柄ともに素晴らしい方が多く、悩み抜いた末に、最後はフィーリングが合うか、楽しくチームとして仕事をしていけるかという基準で選ばせていただきました。 その甲斐あって、スムーズに意思疎通ができるチームとして、短期間であってもギュッと密度の濃い仕事を一緒にすることができたと思っています。やはり人柄や価値観がキーでした。

3.最終ゴールを明確に設定し、業務を進める

実際に副業人材の方と業務を進める方法は様々で、業務内容やプロジェクト参加メンバーによっても方法は変わってくると思います。ただし、 企業・人材ともによかった!と業務終了時に充実した気持ちで終えられているプロジェクトには「最終ゴールをしっかりと設定し、常にそのゴールを念頭に進める」という共通点がありました。 最終ゴールの途中にある小さなゴールを明確にしながら、業務を進めるという進め方は非常にスタンダードなスタイルですが、離れた場所で仕事を進めていくことが多い、副業人材の方と仕事を進めていく際には特に大切にすべきポイントだと感じています。

同時に、期待値や目標を高めすぎないようにすることの重要性も感じました。副業人材の方には当然本業がありますので、自社職員に比べ時間的な制約がかかりやすいというのが一般的です。期待値を上げすぎ、あれもこれもとなってしまうと、スキル的には可能であったとしても時間の問題などで、当初設定していたゴールまで霞んでしまうということにもなりかねません。

ゴール設定の変更はないに越したことはありませんが、 ゴール設定を変更する際には、新たなゴールに置き換わったのか、もしくは当初ゴールの奥にさらに追加でゴールができたのかといった、設定変更を明確にする必要があります。 

常に一緒に作業ができない分、ゴール設定や進捗の確認は通常よりも高い意識で行なっていく必要があると感じましたが、 逆にそれができれば離れていても距離は問題にはならないというのが実感です。実は、我々も取り組みの中で、期待値が大きくなりすぎ、終盤ちょっとバタついたという経験もしましたが、その経験も踏まえた率直な意見です。 

副業人材活用通じて、社員のスキルアップも実現

最後に・・・

時代に合わせた新しいチャレンジを果敢に行っていくためには、その実行のためのスキルを持った人材をいかに迅速に手当てできるかが重要です。 副業人材の採用を躊躇される企業様の中には、自社社員を育成したいという理由を挙げられる企業様もいらっしゃいます。一方で、人材との取り組みに成功された多くの企業様は、副業人材との取り組みを通じて、社員のスキルアップも同時に実現されています。 地方ではなかなか採用できないようなスキルを持った人材を獲得する、また費用対効果を考えた人材活用を行う意味でも、ぜひ多くの企業様に副業人材活用も人材獲得の選択肢の1つとして、取り入れていただければと思います。Let‘s challenge!

投稿者プロフィール

国分瑠衣子
国分瑠衣子
ライターとして週間東洋経済、会社四季報、弁護士・税理士ドットコムなどで取材、執筆しています✒JOINSではオウンドメディアを担当。北海道美瑛町出身ですが🌽コロナ禍で2年ほど帰郷できずで、中学校の同級生から送られてくる写真を眺めて懐かしむ日々です🥔